法人税の課税根拠論と事業体課税(品川先生講義録第2回の2)

2012年1月29日 更新

法人税の沿革から考察すると、資本主義の初期の段階では、各国とも個人の段階での所得課税のみであった。その後、法人の段 階で所得課税が行われるようになっても、それは個人所得税の補足をより合理的にするための便宜的なものであり、一体課税説による負担調整措置が講じられて いた。

ところが、資本主義の発展に伴い法人企業の大規模化が進展すると、学説的にも独立課税説の萌芽をみるようになり、法人税制においても法人を納税主体とみなしてその所得に対し次第に重税を課すようになってきた。

以上のことより、所有と経営が一体となっている同族会社的な中小法人には一体課税説の論理がよく適合し、所有と経営が分離している公開会社的な大法人には独立課税説の論理がよく適合するものと考えられる。

したがって、法人税制としては、原則として独立課税説に基づく法人税制の整備を図るとともに、一体課税説に適応する同族会社的な中小法人に対しては、個人所得税の課税を選択しうる制度を講じることが望ましい。

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