確定決算基準とIFRS(品川先生第3回講義要約)

2012年1月28日 更新

我が国の確定決算基準は、株主総会等の承認を受けた決算に係る利益に基づいて税法の規定により所得金額の計算を行い、この両者の差異を申告書において調整することを意味する。これが、確定決算基準の形式的意義である。

一方、確定した決算において採用された適正な会計処理は、その所得金額の計算上、みだりに変更することはできない(申告調整が許されない)とされている。これが、確定決算基準の実質的意義である。

こ れは、商事と税務の2種類の財務諸表を作成する必要がないことに利点がある。また、商事上の利益を増加させ税務上の所得を減少させたいという企業の恣意的 な利益計算を抑止する機能を持っている。さらに、商事利益計算と税務所得計算が強い関連性を持つということは、両者の相互調整チャンネルとして確定決算基 準が作用することを意味する。

以上から、次のことが言える。すなわち、IFRSへのコンバージェンスが会社法を含む企業会計全般に及ぶよう であれば、法人税制もそれに合わせて規定を整備すれば良いのであって、確定決算基準を放棄する必然性は全くないのではないか。また、IFRSへのコンバー ジェンスが上場企業のみにとどまり、非上場企業の財務諸表には別途会計基準の設定が要請されるのであれば、その会計基準に合わせて法人税を改正すれば足り る。けだし、非上場企業は、全法人の99%を占めるからである。

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