非居住者か否かは買主側で調査が必要

2012年3月17日 更新

東京高裁、原審の判決を支持し非居住者性の判断を買主側に求めるのは酷ではないと判示(2011.08.03 東京高裁判決、平成23年(行コ)第117号)

 

 

非居住者から土地等を購入した場合の源泉徴収義務制度の適用をめぐって、買主側に売主が居住者か非居住者かの確認義務が求められるか否かの判断が争われた事件で、東京高裁は原審と同様、土地等の売買の際に売主が居住者か非居住者かの判断をするのが通常であると判断、買主である法人側の控訴を棄却する判決を言い渡した。

 

これは、海外に転勤していた日本人から土地を購入した法人が、その対価の支払いの際に源泉徴収をしなかったため、原処分庁が源泉税の納税告知処分、不納付加算税の賦課決定処分をした事案である。

買主法人側は、外見上から見ても日本人である売主が居住者か否かの判定を買主に求めるのは酷な負担を強いるもの であるから、外国人から土地等を購入した場合の源泉徴収義務制度は限定的に適用すべきであると主張して、原処分の取消しを求めて提訴したが、原審の 東京地裁は、居住者か非居住者かの判定は売買契約の目的を達成するためには買主側に調査確認等が当然に求められ、酷な負担を強いる制度ではないと判示して 棄却したため、控訴した。

 

しかし控訴審も一審と同様に判断、源泉徴収義務が発生する売買か否かの判断は重要なことであるから、非居住者性の確認を行うのが通常であり、それが取引の実情であるとして控訴を棄却している。

東京高裁は、源泉徴収義務の有無を左右するのは売主の住所・居所が国内にあるか否かであると指 摘。そのうえで、このような事実は、売買契約の目的を完全に達するために必要な事項に関連するものであり、買主において調査確認等(たとえば、売主の住 所・居所を知るための調査確認等としては、売買契約書の作成、不動産登記事項証明書の確認、売主からの委任状および印鑑登録証明書等の入手または売主への 直接確認等)をすることが予定されているとした。

 

源泉徴収の確認義務を買主側に求めた初めての判決として注目を集 めているが、売主が日本人の場合、居住者か非居住者かの判定をするのは実務的に困難な場合が多いと指摘する声も多い。

(週刊「T&A master」2011年10月3日号・№421参照)

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