相続税法における時価(品川先生第9回講義要約その1)

2012年2月10日 更新

相続税法22条は、「相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価」によることとしている。

最高 裁昭和61年12月5日判決は、被相続人が売主となって土地の譲渡契約を締結したが、これに付された条件が成就する以前に死亡し、その後条件が成就して所 有権移転登記が完了した事案である。本件では、納税者は、土地を相続したものとして評価通達に定める路線価方式により2,018万円と評価した。

これに対し、課税庁は本件土地の売却代金4,539万円が相続財産であるとし更正処分を行った。

一 審は、売買代金の完済をもって所有権が移転する旨の特約があることから、納税者の請求を認容した。控訴審は、本件土地が相続財産を構成することを認めた が、その評価については評価通達を適用せず売買価額により評価すべきであるとして課税庁の主張を認めた。上告審は、相続財産を構成するのは、売買代金債権 であるとし、結果において控訴審の判断を是認した。

本件のように「特別な事情」がある場合には、評価通達6「この通達の定めによって評価す ることが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」の規定の趣旨に合致するものと考えられる。すなわち、「特別な事 情」がある場合には、相続財産の評価につき、評価通達を適用することなく当該財産の売買価額等を基準とする個別評価によるべきであると考えられる。この考 え方は、その後の裁判で広く採用されるに至っており、本件控訴審判決の先例性を高く評価したい。

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