興銀事件と実務への影響(品川先生第6回講義要約その1)

2012年2月10日 更新

K銀行は、平成8年3月期の法人税について、住専子 会社に対して有する貸付債権3,760億円を解除条件付きで債権放棄し、これを貸倒損失として確定申告をした。これに対し、課税庁が、当該貸倒損失を否認 する更正等を行ったため、これを不服としてK銀行は、訴訟を提起したものである。

一審は、本件債権は社会通念上全額回収不能であったとし、解除条件の私法上の効力に照らしても、貸倒損失の発生は確定していると判示した。

これに対し、控訴審は、法22条3項及び33条2項を前提にして、貸倒損失を計上するためには当該債権の資産性が全部失われたことを要するとし、当時の状況からみて、全額回収不能とはなっていないと判示した。

最高裁は、控訴審と同様に法22条3項及び33条2項を前提に、全額回収不能が貸倒損失を計上する要件であるとしながら、本件においては、全額回収不能が客観的に明らかであったとした。

控訴審と最高裁は、結論は異なるものの、同じ理由付けをしており、従前の解釈論と異なるものではない。最高裁は、結果論的な判断をしたものと考えられ、本件の特異性に応じた個別判断であると解される。

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